明かすことで踏み出せる一歩。釜山映画祭で南果歩が教えてくれた、「在日です」は架け橋の言葉—いい話
突然ですが、『在日』という言葉を聞いて、どんなイメージが湧きますか?
この記事を読んだあとに、ご自身の考えを持って頂ければ嬉しいです。
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【タブーとされてきた芸能界の“在日”】
2007年に公開された映画『パッチギ!/LOVE & PEACE』では、在日朝鮮人であることを隠して芸能界でのし上がっていくヒロインが描かれ話題になりました。現在でもネット上では「あの俳優・女優は在日か否か」という記事が常に芸能ニュースを賑わせています。実際、そのような記事が出ることで、タレントにとっては芸能生活において足を引っ張られることもあるのかもしれません。
ところが、東スポの記事によると、先日開催された釜山国際映画祭の司会・渡辺謙さんの妻である南果歩さんについて、韓国側の司会ムン・ソリさんが映画祭の舞台上で「南の母親が釜山出身」と、まさかのカミングアウト!
国境を超えた映画祭とはいえ、こんな場所で出自を晒されてしまうなんて、さすがの大女優も困ったに違いない…
そんな心配をよそに、自身も映画の出演者として舞台に同行していた南さん、釜山に対する愛着を語り、映画祭に親戚も来ていることを紹介していたそう。記事によれば、同胞意識が強い韓国人にとってこの発言は効果絶大であり「釜山映画祭が和やかな日韓友好ムードに包まれたのは南のおかげでは」との声も出ているのだとか。
【”隠さない時代”へ】
南さんの「在日」カミングアウトは、実は数年前からあったようです。周囲には当たり前のように話していたり、雑誌のエッセイにも在日である旨を記載していたとのこと。2007年に掲載されたライブドアニュースには、南さんの他、パッチギ LOVE & PEACEの主演を務めた中村ゆりさんの在日の告白についても言及しています。
芸能プロダクションによってはまだデリケートな問題として扱うところもあるようですが、5〜6年前からこのような目立った動きがあることに、時代の変化を感じずにはいられません。
さらには、芸能人が先陣を切って自身の出自を公開することは、今まで隠さなければいけないと思ってきた風潮や”在日であること=特殊”という考えを変えていくチャンスにもなります。
【偏見に負けないために】
ここでひとつ、筆者の体験談をご紹介します。
以前、とある巨大新興宗教の信者の方とお会いしました。有名な宗教で話には聞いていたけれど、実際に会うのは初めて。平然を装って自己紹介しながらも、今まで語られてきたネズミ色のウワサが頭をよぎります。
しかし、彼と話すうちに、明るく気さくで賢く、優しさと思いやりに溢れる青年だということが判明。ウワサもいつの間にかどこかへ吹き飛んでいました。生まれながらに信者だった彼は、周囲からどう思われるかもよく知っていて、本来なら初対面の相手には宗教のことを話さないとのこと。
でも、私が思ったのはこうです。
「彼が自信を持って自分の宗教を語れば、
彼の宗教に理解を示す人が出てくるかもしれないのに」
彼と出会ってから、その宗教について新しい発見をしたこともさることながら、「この宗教の中に育っているこんな素敵な彼が自分の宗教を明かしたなら、彼に出会う一人ひとりの中でその宗教に対するイメージが変わるはず」、そんなポジティブな気持ちにさせてもらったのです。そしてその彼の魅力は間違いなく、宗教を心から愛していることによって出てきているものでした。
つまり何が言いたいかというと、
『誰が何と言おうと、”それ”も含めて自分である』
そして
『”それ”は決して恥ずべきものではない』
ということ。
”それ”という部分には様々な言葉が当てはまります。例えば人によっては宗教だったり、国籍だったり、身分だったり、病気や障害だったり、どこにいても何をしていても、偏見は平等に、どんな人生にもつきまとうもの。そしてそれらを誰かに語ることによって、もしかしたら嫌な気持ちを味わうかもしれません。
しかし、誰かに良いイメージを持ってもらう絶好の機会でもあるのです。
自分が”それ”と他者との架け橋になることが出来るチャンスなのです。
偏見を恐れて身を守るのももちろん大切。しかし自分が胸を張って生きることで、同じ境遇の誰かにも自信を持ってもらえるかもしれません。あなたの勇気が、誰かの生きる誇りになるかもしれないのです。
【「在日です」と声をあげること】
先の記事にもあったように、南さんが在日韓国人であることを明かしたことによって、友好ムードが漂ったという話。
これ、もしかして、チャンスじゃないですか?
昨今の日韓に漂う険悪なムードを打開する、すごく大きな架け橋じゃないかと思うのです。お互いの文化を知り、2つの祖国を持ち、場合によってはどちらの言語も話す在日の方々。普通に考えれば2つの異なる文化を背景に持つ、とても羨ましい存在であり、日韓両国の関係の溝を埋めていくために、なくてはならない存在だと思うのです。
この際、日韓友好を推進するリーダーになっちゃいませんか?
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偏見は怖い。本当に怖いです。
筆者には、在日と呼ばれる方々が日々どんな思いをしながら過ごしているか分かりません。どんな嫌な思いを経験してきたかも知りようがありません。恐れないでと言う方が無理かもしれません。でも私自身、ときどき反対派の影に怯えながら、日韓関係をどうにかしたいと思って活動しています。
だって、誰かが変えなきゃいけないと思うから。
だから、皆で変えていきましょう。ひとりひとりが行動を起こせば、大きな力が生まれるはず。私は、在日の方々に代わって声をあげることはできません。でも、応援することなら出来ます。様々な偏見をひとつずつ、PLPで解きほぐし、知られていない”良い”ことを広めていきます。PLPにはPLPらしい架け橋の方法を模索して、日々行動していきます。
少しでも、嫌な思いをすることが減るように。
誰もが自信をもって生きられる国にするために。
この記事を読んで、ひとりでも多くの方に「架け橋」の意味を考えてもらえたら幸いです。
日韓友好 みんなでやれば こわくない♡
お後がよろしいようで。
アンナ
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この記事を、在日韓国人である親友と、
親友に生まれた 韓国の血を引く長女に捧げます。
必ず、日韓を愛する人たちが生きやすい世の中にします。