韓流映画のススメ—「ラブストーリー」
『ラブストーリー』
(原題:클래식)
クァク・ジェヨン監督・2003年
初めて好きになった韓国映画は、クァク・ジェヨン監督の「ラブストーリー」でした。
***
母娘にわたって紡がれるラブストーリー
両親が若かりし頃に送り合っていた手紙を見つけた娘が、母の初恋の物語に触れつつ、自分の複雑な恋の行方を追うのが映画の主題。
透明感のある映像やクラシック音楽、若かりし頃の母と初恋の相手が初めての夏休みを過ごした美しい田舎の風景が、これから美しい物語が始まるのだと教えてくれます。
主人公たちの実家も、まだまだ落ち着いているスウォンの街。韓国語の原題「클래식(クラシック)」は、ゆったりとした街と、手紙をとおして恋心を通わせた主人公たちの、ちょっとしたレトロな青春時代をも補っているように思えました。
ストーリーは至ってベタだが・・・
ちょっとずつ現在の娘の恋模様を挟みながら、映画は母の初恋をメインに追って行きます。
マドンナがいて、初恋のふたりだけの一日の冒険があって、親友と同じ相手を追いかけて…
まだまだ親が結婚相手を決めることができた青春時代、ベトナム派兵や独裁政権下の激動の成年期、ようやく落ち着いて会えたときのふたりの決断。
…とまぁ、ここまではよくあるラブストーリーです。
どんでん返しが待っている
場面は切り替わって、映画の後半。
主人公の娘がデート相手に母親の初恋の話を聴かせると、クールなはずの彼がまさかのボロ
泣き。その涙の15秒あとで、ボロ泣きをするのは私たちでした。
しかるべき時期がくれば必ず光を放つホタルのように、世代を超えて恋心がきらめくときがある。あるときには運命がジャマをして、あるときには運命が味方をしながら。
そんなホタルのほのかな光に包まれるラストシーンは、フランス映画「クリスマス・ストーリー」の雪さながら、その映画の意味合いすべてを包み込むよう。
***
ほんのり優しい気持ちに包まれたいとき、この作品を観てあたたかい涙を流すのも良いかもしれません。
また、オススメの映画を紹介しますね。